親子や親族の間で、
「とりあえずお金を出しておくね」
「あとで返してもらう予定です」
というやり取りは、意外とよくあります。
ただ、このようなお金の移動は、きちんと“貸付”として扱われていないと、税務上は“贈与”とみなされることがあります。
今回は、親族間のお金の貸し借りについて、わかりやすくご説明します。
金銭の貸し借り=すぐに贈与、ではありません
まず大前提として、お金を貸しただけで、すぐに贈与になるわけではありません。
本当に「貸したお金」であり、
借りた側に返済する意思があり、
実際に返済していく内容になっているのであれば、
それは贈与ではなく、金銭消費貸借として扱われます。
つまり、
- 返す約束がある
- 返済条件が決まっている
- 実際に返している
このような事情があれば、通常は贈与とはなりません。
ただし、「返さない貸付」は贈与とみなされることがあります
注意したいのはここです。
最初は「貸したこと」にしていても、
- 返済期限がない
- 返済額が決まっていない
- 返済の実績がない
- はじめから返すつもりがない
- 返済能力がないのに形式だけ貸付にしている
このような場合は、税務上、実質的には贈与ではないかと見られる可能性があります。
つまり、
“貸したことにしているだけ”では足りないということです。
親族間のお金のやり取りはどうしても曖昧になりやすいため、後から税務調査などで問題にならないよう、最初の段階で整理しておくことがとても大切です。
親族間でも「契約書」を作っておくのがおすすめです
親子や兄弟の間だと、口約束だけで済ませてしまうことも多いですが、税務上はそれがリスクになることがあります。
そのため、親族間の貸し借りでも、次のような内容を決めておくと安心です。
- いくら貸したのか
- いつ貸したのか
- いつまでに返すのか
- 毎月いくら返すのか
- 利息をどうするのか
こうした内容を金銭消費貸借契約書として残しておくことで、
「これは贈与ではなく、貸付です」と説明しやすくなります。
利息を取ることも大切です
親族間の貸し借りでは、無利息にしてしまうケースも少なくありません。
ですが、第三者同士のお金の貸し借りであれば、通常は利息をつけるのが一般的です。
そのため、親族間でも、あまりに不自然な条件だと、形式だけの貸付と見られることがあります。
このため、税務上のリスクを下げるためには、一定の利息を設定しておくことが望ましいです。
高い利率である必要はありませんが、
「きちんと貸付として扱っている」ことが分かる内容にしておくことが大切です。
返済されていない貸付金は、貸した人の相続財産になります
もう一つ大切なポイントがあります。
貸したお金が一部でも返済されないまま、貸した人が亡くなった場合、
その未回収の貸付金は、貸した人の相続財産になります。
たとえば、父が子に300万円を貸していて、まだ返済が終わっていないまま父が亡くなった場合、その300万円の残額は、父の相続財産として相続税の対象になります。
「家族間のお金だから、もう気にしなくていい」と思っていても、
相続の場面では**“貸付金という財産”**として扱われることがあるのです。
あとで困らないために、最初の整理が大切です
親族間のお金の貸し借りは、気持ちの面が大きく、どうしても書類が後回しになりがちです。
ですが、税務では、実態がどうだったかを見られます。
そのため、
- 貸付なのか
- それとも贈与なのか
この点を曖昧にしないことが大切です。
特に、まとまった金額を動かす場合は、
最初から契約内容を整え、返済は現金手渡しでなく、振り込みにする等、返済の記録を残しておくことで、将来の贈与税や相続税のトラブル防止につながります。
まとめ
親族間のお金の貸し借りは、きちんと返済する前提があり、実際に返済していれば、贈与にはなりません。
ただし、
- 返済の約束が曖昧
- 実際に返していない
- 利息もなく、形式だけ貸付になっている
このような場合は、贈与と判断される可能性があります。
また、返済されていない貸付金は、将来的に相続財産になる点にも注意が必要です。
親族間だからこそ、後で揉めないために、
そして税務上も安心できるように、
契約書・返済条件・利息・返済実績をきちんと整えておきましょう。
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